化学基礎|物質の構成(8)金属結合と結晶
金属は、自由電子が陽イオンをつなぐ
金属原子が出した価電子は、特定の原子にとどまらず金属全体を動き回ります(自由電子)。この自由電子が、金属の光沢・電気の通しやすさ・のびやすさのもとです。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 金属結合金属の陽イオンどうしを、自由電子が結びつける結合
- 自由電子特定の原子にしばられず、金属全体を動き回る価電子
- 金属光沢金属をみがくと出る特有のかがやき
- 展性・延性たたくとうすく広がる性質(展性)、引っぱると細くのびる性質(延性)
- 結晶粒子が規則正しく並んだ固体
- 融点固体がとけて液体になる温度
ステップ1
金属に共通する性質は?
予想:中学で学んだ「金属に共通する性質」として、あてはまらないものは?
灰色の+=金属の陽イオン、青い点=自由電子。紫=陽イオン、緑=陰イオン(イオン結晶)。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
金属結合と結晶のまとめ
| 結晶 | 結びつき | 電気 | 融点・性質 |
|---|---|---|---|
| 金属結晶 | 金属結合(自由電子) | 固体でも通す | さまざま・展性と延性 |
| イオン結晶 | イオン結合 | 融解液・水溶液で通す | 高い・かたいがもろい |
| 共有結合の結晶 | 共有結合 | ふつう通さない(黒鉛は通す) | 非常に高い・非常にかたい |
| 分子結晶 | 分子間力 | 通さない | 低い・やわらかい |
この図は理解のためのモデルです。イオンや電子の大きさ、並び方は単純にしています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 金属の結合 | 陽イオン + 自由電子 | 電子の海に陽イオンがうかぶNa → Na⁺ + e⁻ の e⁻ が全体を動く |
| 電気の通し方 | 動ける電荷があるとき通す | 自由電子(金属)・動けるイオン(融解液・水溶液)固体のイオン結晶はイオンが動けないので通さない |
| 融点の目安 | 共有結合の結晶 > イオン結晶 > 分子結晶 | 結びつきが強いほど高い金属結晶は −39 ℃(Hg)〜 3422 ℃(W)とさまざま |
どの結晶かは「何と何でできているか」で見分ける:金属だけ → 金属結晶、金属+非金属 → イオン結晶、非金属だけ → 分子結晶(C・Si・SiO₂ などは共有結合の結晶)。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:密度をはかる金属の種類によって、密度がどうちがうか調べよう →実験のあとに読む
なぜ金属はのびて、食塩の結晶は割れるのか
何を比べる?
金属に共通の性質、電圧をかけたときの自由電子、金属とイオン結晶をずらしたとき、4 種類の結晶の性質、金属ごとの室温での状態を比べます。
結果をどう考える?
金属では、陽イオンのまわりを自由電子が満たしているので、層がずれても陽イオンと自由電子の引き合いは保たれ、割れずに形が変わります。イオン結晶では、層が半分ずれると + と +、− と − が向かい合って反発し、結晶が割れます。
まちがえやすい点・モデルの条件
「金属はどれも室温で固体」はまちがいです。水銀は融点 −39 ℃ なので常温で液体です。金属の融点は種類によって大きくちがいます。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方