化学基礎|酸と塩基(5)塩
塩の水溶液の性質は、もとの酸と塩基の強さで決まる
中和では水といっしょに塩(えん)ができます。塩は化学式の形で分類されますが、水にとかしたときの性質は、もとになった酸と塩基の強さで決まります。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 塩(えん)酸の陰イオンと塩基の陽イオンからなる物質。食塩(NaCl)もその 1 つ
- 正塩化学式に酸の H も塩基の OH も残っていない塩(NaCl・CH₃COONa)
- 酸性塩化学式に酸の H が残っている塩(NaHSO₄・NaHCO₃)
- 塩基性塩化学式に塩基の OH が残っている塩(MgCl(OH))
- 液性水溶液が酸性・中性・塩基性のどれか
- 遊離化合物から、ある物質が取り出されること
ステップ1
中和でできる塩は?
予想:塩酸と水酸化ナトリウム水溶液の中和で、水のほかにできる塩は?
BTB 液:黄=酸性、緑=中性、青=塩基性。赤い枠=化学式に残っている H や OH。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
塩のまとめ
| ことば | ことばで言うと |
|---|---|
| 塩 | 酸の陰イオンと塩基の陽イオンからなる物質 |
| 正塩・酸性塩・塩基性塩 | H も OH も残らない/酸の H が残る/塩基の OH が残る(形の分類) |
| 正塩の水溶液 | 強酸+強塩基 → 中性、弱酸+強塩基 → 塩基性、強酸+弱塩基 → 酸性 |
| 弱酸の遊離 | 弱酸の塩 + 強酸 → 強酸の塩 + 弱酸 |
| 弱塩基の遊離 | 弱塩基の塩 + 強塩基 → 強塩基の塩 + 弱塩基 |
この図は理解のためのモデルです。色は BTB 液を入れたときの目安です。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 塩のでき方 | 酸 + 塩基 → 塩 + 水 | 陰イオンは酸から、陽イオンは塩基からHCl + NaOH → NaCl + H₂O |
| 液性の決まり方 | 強い方の性質が出る | 弱酸+強塩基 → 塩基性CH₃COONa は塩基性、NH₄Cl は酸性 |
| 弱酸の遊離 | 弱酸の塩 + 強酸 → 強酸の塩 + 弱酸 | 強い酸が H⁺ を押しつけるCH₃COONa + HCl → CH₃COOH + NaCl |
「酸性塩」「塩基性塩」は化学式の形による名前で、水溶液の液性とは別。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:中和とイオンの数中和で残るイオン(塩のもと)を調べよう →実験のあとに読む
なぜ正塩なのに中性にならない水溶液があるのか
何を比べる?
中和でできる塩、塩の化学式の形、塩の水溶液の BTB 液の色、塩と酸・塩基を混ぜたときの変化、2 つの酸性塩の水溶液の色を比べます。
結果をどう考える?
酢酸ナトリウムを水にとかすと、CH₃COO⁻ と Na⁺ に分かれます。CH₃COO⁻ は弱酸の陰イオンなので、水から H⁺ を少し受け取って酢酸にもどろうとし、そのとき OH⁻ が残ります。だから水溶液は弱い塩基性になります。強酸の陰イオン Cl⁻ はこのようなことをしないので、NaCl の水溶液は中性です。
まちがえやすい点・モデルの条件
「酸性塩の水溶液は酸性」はまちがいです。NaHSO₄ は酸性ですが、NaHCO₃ は弱い塩基性です。分類の名前と液性は別のものです。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方