物理基礎|電気(5)交流と送電
電気は「高い電圧」で送ると、むだが減る
家庭の電気は交流で、変圧器で電圧を自由に変えられます。発電所から高い電圧で送るのは、送電線で熱として失われる電力を減らすためです。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 直流電流の向きと大きさが一定の電気(電池など)
- 交流電流・電圧の向きと大きさが周期的に変わる電気(家庭のコンセント)
- 周波数 Hz1 秒間に同じ変化をくり返す回数
- 変圧器(トランス)鉄心に 2 つのコイルを巻いた装置。電磁誘導で交流の電圧を変える
- 1 次コイル・2 次コイル電源につなぐ側が 1 次、電気を取り出す側が 2 次
- 送電発電所から家庭や工場まで電気を送ること
ステップ1
コンセントの電気は、どんな電気?
予想:家庭のコンセントの電気(交流)の電圧は、時間とともにどう変わる?
青=電圧の変化・送電線を流れる電子、オレンジ=熱として失われる電力。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
交流と送電のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 直流・交流 | 向きが一定(電池)・向きが周期的に変わる(コンセント) |
| 周波数 f [Hz] | 1 秒間にくり返す回数。東日本 50 Hz、西日本 60 Hz。周期 T = 1/f |
| 変圧器 V₁:V₂ = N₁:N₂ | 電圧の比 = 巻き数の比。交流だけに使える |
| 送電の損失 RI² | 送電線の抵抗で熱になる電力。電流の 2 乗に比例 |
| 高電圧送電 | 同じ電力なら電圧 n 倍で電流 1/n、損失 1/n² |
この図は理解のためのモデルです。送る電力や送電線の抵抗は計算しやすい値にしています。実際の送電は数十万 V で行われています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 周期と周波数 | T = 1 / f | 周期 = 1 ÷ 周波数50 Hz なら 0.02 s |
| 変圧器 | V1 : V2 = N1 : N2 | 電圧の比 = 巻き数の比損失がなければ電力は同じ(V₁I₁ = V₂I₂) |
| 送電の損失 | P損 = RI2, I = P/V | 損失 = 送電線の抵抗 × 電流²電流は「送る電力 ÷ 送る電圧」 |
送電の問題は、①電流 I = P/V を求める ②損失 RI² を計算する、の 2 段階。電圧を上げると電流が減ることがポイント。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:交流発電機コイルを回して、交流が生まれるようすを調べよう →実験のあとに読む
なぜ家庭の電気は交流なのか
何を比べる?
直流と交流の電圧の変化、50 Hz と 60 Hz の波の数、2 次コイルの巻き数と電圧、送る電圧を変えたときの送電線の損失を比べます。
結果をどう考える?
送電線の損失を減らすには、高い電圧で送る必要があります。でも家庭では安全のため低い電圧で使いたい。交流なら、変圧器(電磁誘導)でかんたんに電圧を上げ下げできます。直流は向きが変わらず磁場が変化しないので、変圧器が使えません。これが、発電所から家庭まで交流が使われている大きな理由です。
まちがえやすい点・モデルの条件
「電圧を上げると、電気がたくさん流れて損失が増える」はまちがいです。同じ電力を送るなら、電圧を上げると電流は小さくなり、損失 RI² はかえって小さくなります。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方