物理基礎|運動の表し方(3)落体の運動
落ちる物体は、1 秒に 9.8 m/s ずつ速くなる
物体が落ちる運動は、加速度が g = 9.8 m/s² で一定の等加速度直線運動です。中学の「落ちるとだんだん速くなる」のふり返りから始めて、g を見つけ、式を使い、重さのちがい・投げ上げまで、予想してから5つのステップで確かめよう。計算は「式 → 数を入れる → 答え」の順に出ます。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 自由落下静かに手をはなして落とすこと(はじめの速さ 0)
- 重力加速度 g落ちる物体の加速度。地球ではおよそ 9.8 m/s²。「1 秒に 9.8 m/s ずつ速くなる」
- m/s²「1 秒あたり、速さが何 m/s 変わるか」の単位(メートル毎秒毎秒)
- ½gt²「½ × 9.8 × t × t」。v–tグラフの三角形の面積(底辺 t、高さ gt)
- 空気抵抗空気が動きをじゃまする力。羽がゆっくり落ちる理由。この教材では「なし」が基本
- 最高点投げ上げた物体がいちばん高くなる所。速度は 0 だが、加速度は g のまま
ステップ1
落ちる球の速さは、どうなっている?
予想:静かに手をはなして球を落とした。落ちているとちゅう、球の速さは?
重力加速度 g = 9.8 m/s²。空気抵抗は「なし」が基本。球は 0.2 秒ごとに「あと」を残す。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
落体の運動のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 重力加速度 g | 落ちる物体の加速度。地球では 9.8 m/s²(1 秒に 9.8 m/s ずつ速くなる) |
| v = gt | 落ちる速さ = 9.8 × 秒数 |
| y = ½gt² | 落ちた距離 = v–tグラフの三角形の面積(½ × 秒数 × 速さ) |
| 重さ | 空気抵抗がなければ、重い物も軽い物も同じ落ち方(同時に着地) |
| 投げ上げ | 上向きの速さが 1 秒に 9.8 ずつ減る。最高点で速度 0、加速度は g のまま |
この図は理解のためのモデルです。空気抵抗を「あり」にしたときの動きは、ちがいが見えるように単純化しています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 自由落下の速度 | v = gt | 落ちる速さ = 9.8 × 秒数下向きを+。g = 9.8 m/s²。単位 m/s |
| 自由落下の距離 | y = ½gt2 | 落ちた距離 = ½ × 9.8 × 秒数²v–tグラフの三角形の面積。単位 m。時間 2 倍で 4 倍 |
| 投げ上げの速度 | v = v0 − gt | 上向きの速さ = はじめの速さ − 9.8 × 秒数上向きを+。最高点で v = 0 → t = v₀ ÷ g |
| 投げ上げの高さ | y = v0t − ½gt2 | 高さ = はじめの速さ × 秒数 − 落ちた分最高点の高さ = v₀² ÷ 2g |
どれも「等加速度直線運動」の式に a = g(落ちるとき)または a = −g(上向きを+にしたとき)を入れただけ。新しく覚える式ではない。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:自由落下高さや物体を自由に変えて、落下時間と速さを調べよう →実験のあとに読む
なぜ重さに関係なく同じ落ち方をするのか
何を比べる?
落とす時間を 1〜3 s に変えたときの、速さと落ちた距離の増え方を比べます。地球と月で、1 秒ごとの速さの増え方を比べます。重い球と軽い球を同時に落として、空気抵抗の有無で着地の時刻を比べます。
結果をどう考える?
重力は質量に比例して大きくなりますが、動かしにくさ(慣性)も質量に比例して大きくなります。だから加速度 = 力 ÷ 質量 は、質量によらず g で同じになります。羽が遅く落ちるのは、羽の重力に比べて空気抵抗が大きいからです。
まちがえやすい点・モデルの条件
投げ上げの最高点で「速度が 0 だから加速度も 0」と考えるまちがいが多いです。最高点でも重力ははたらいているので、加速度は下向きに g のままです。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方