物理基礎|熱(2)熱量の保存
失った熱量 = 得た熱量 で、混ぜたあとの温度がわかる
温度のちがう物体をふれさせると、熱は高温から低温へ移り、やがて同じ温度になります。熱がにげなければ「失った熱量 = 得た熱量」。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 熱平衡ふれ合っている物体の温度が同じになり、熱の移動が止まった状態
- 失った熱量・得た熱量高温の物体が出した熱量と、低温の物体が受け取った熱量。熱がにげなければ等しい
- Q = mcΔT熱量 = 質量 × 比熱 × 温度の変化(前の単元)
- 熱容量 Cその物体全体を 1 K 上げる熱量。単位 J/K。C = 質量 × 比熱
- t(混ぜたあとの温度)わからない温度を t とおいて式を立てる。高温側は (もとの温度 − t)、低温側は (t − もとの温度)
- 比熱1 g を 1 K 上げる熱量。水 4.2、鉄 0.45 J/(g·K)
ステップ1
熱い物と冷たい物をふれさせると?
予想:80 ℃ の鉄球を 20 ℃ の水に入れた。しばらくすると、どうなる?
グラフ:赤=高温の物体、青=低温の物体、緑の点線=最後の温度。比熱:水 4.2、鉄 0.45 J/(g·K)。熱はにげないものとする。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
熱量の保存のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 熱の移動 | 高温の物体 → 低温の物体へ。同じ温度(熱平衡)で止まる |
| 熱量の保存 | 高温の物体が失った熱量 = 低温の物体が得た熱量(熱がにげないとき) |
| 式の立て方 | m₁c₁(t₁ − t) = m₂c₂(t − t₂)。t が混ぜたあとの温度 |
| 熱容量 C | 物体全体を 1 K 上げる熱量 = mc。Q = CΔT |
| 注意 | 混ぜたあとの温度は「平均」ではない。質量 × 比熱 で重みがつく |
この図は理解のためのモデルです。容器や空気への熱のにげは考えていません。温度の変化の速さは見やすさのためのものです。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 熱量の保存 | Q失 = Q得 | 失った熱量 = 得た熱量熱が外ににげないとき |
| 混ぜたあとの温度 | m1c1(t1 − t) = m2c2(t − t2) | 高温側の mcΔT = 低温側の mcΔTt₁:高温側のもとの温度、t₂:低温側のもとの温度、t:混ぜたあと |
| 熱容量 | Q = CΔT | 熱量 = 熱容量 × 温度の変化C = mc。容器もふくめるときは、容器の分を足す |
手順:①混ぜたあとの温度を t とおく ②高温側の失った熱量と低温側の得た熱量を mcΔT で書く ③等しいとおいて t を求める。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:加熱曲線加熱したときの温度の変化を、自由に調べよう →実験のあとに読む
なぜ「失った熱量 = 得た熱量」と言えるのか
何を比べる?
水の温度を変えたときの最後の温度、お湯の質量を変えたときの温度、鉄の質量を変えたときの温度、熱容量を変えたときの熱量、お湯の量を変えたときに平均とのずれを比べます。
結果をどう考える?
熱はエネルギーなので、なくなったり増えたりしません。高温の物体から出た熱量は、そのまま低温の物体に入ります(にげなければ)。だから「失った熱量 = 得た熱量」が成り立ち、混ぜたあとの温度が計算できます。質量や比熱が大きい方は温度が変わりにくいので、最後の温度はそちらに引っぱられます。
まちがえやすい点・モデルの条件
「混ぜたら温度の平均になる」はまちがいです。平均になるのは、質量も比熱も同じときだけ。また、実際の実験では容器や空気に熱がにげるので、計算より少し低い温度になります。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方