物理基礎|力と運動(5)圧力と浮力
浮力は「押しのけた水の重さ」
水の中では、深いほど水圧が大きくなります。物体の下面と上面の水圧の差が「浮力」です。中学の圧力のふり返りから始めて、水圧・浮力・浮く沈む・まちがえやすい点まで、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- Pa(パスカル)圧力の単位。1 Pa = 1 m² に 1 N の力。1000 Pa を 1 kPa とも書く
- 密度 ρ(ロー)1 m³ あたりの質量。水は 1000 kg/m³(1 L で 1 kg)
- m³ と L1 m³ = 1000 L。1 L = 1.0×10⁻³ m³。式には m³ を使う
- 水圧水の中ではたらく圧力。上にのっている水の重さが原因。深いほど大きい
- 浮力液体の中の物体が受ける上向きの力。下面の水圧が上面より大きいために生じる
- アルキメデスの原理浮力の大きさ = 物体が押しのけた液体の重さ
ステップ1
圧力 = 力 ÷ 面積
予想:重さ 20 N の物体を、底面積 0.10 m² の面でスポンジにのせた。スポンジにかかる圧力は?
青=浮力・水圧、赤=重力。水の密度 ρ = 1000 kg/m³、g = 9.8 m/s²。1 L = 1.0×10⁻³ m³。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
圧力と浮力のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 圧力 p = F / S | 力 ÷ 面積。単位 Pa(N/m²)。面積が小さいほど大きい |
| 水圧 p = ρgh | 上にのっている水の重さ ÷ 面積。深さに比例 |
| 浮力 F = ρVg | 押しのけた液体の重さ。下面と上面の水圧の差が正体。深さによらない |
| 浮く・沈む | 重力 < 浮力 なら浮く(液体より密度が小さい)。浮いているときは 浮力 = 重力 |
この図は理解のためのモデルです。大気圧は考えず、水圧は水の重さによる分だけを示しています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 圧力 | p = F / S | 圧力 = 力 ÷ 面積単位 Pa = N/m²(中学と同じ) |
| 水圧 | p = ρgh | 水圧 = 密度 × 9.8 × 深さρ = 1000 kg/m³(水)。深さ 1 m で約 9.8×10³ Pa |
| 浮力 | F = ρVg | 浮力 = 密度 × 沈んでいる体積 × 9.8ρ は液体の密度、V は液体の中にある部分の体積。物体の重さは関係ない |
浮力の V は「物体の体積」ではなく「液体の中に沈んでいる部分の体積」。浮いている物体では一部だけ。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:浮力の実験室物体の密度や沈める深さを自由に変えて、浮力を調べよう →実験のあとに読む
なぜ浮力は「押しのけた水の重さ」になるのか
何を比べる?
底面積を変えたときの圧力、深さを変えたときの水圧、体積を変えたときの浮力、木・鉄・水と同じ密度の物体の浮き沈み、沈める深さを変えたときの浮力を比べます。
結果をどう考える?
物体の下面には、上面より深い分だけ大きい水圧がかかります。「下面の水圧 − 上面の水圧」は ρg × 物体の高さ で、これに底面積をかけると ρg × 体積、つまり「物体と同じ体積の水の重さ」になります。これがアルキメデスの原理です。だから浮力は物体の重さや深さには関係なく、沈んでいる体積だけで決まります。
まちがえやすい点・モデルの条件
「重い物は浮力が小さい」「深いほど浮力が大きい」はどちらもまちがいです。浮力は ρVg で、物体の質量も深さも式に入っていません。重い物が沈むのは、浮力が小さいからではなく、重力が浮力より大きいからです。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方