物理基礎|運動の表し方(1)速度と変位
「どれだけ動いたか」と「どこへ動いたか」を分けて考える
中学では「速さ=道のり÷時間」でした。高校の物理では、これに「向き」をつけて考えます。中学のふり返りから始めて、変位・符号・x–tグラフ・相対速度を、予想してから5つのステップで確かめよう。計算は「式 → 数を入れる → 答え」の順に出ます。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 速さ中学と同じ「道のり ÷ 時間」。向きは考えない
- 速度速さに「向き」をつけたもの。一直線上では +・− で向きを表す
- 変位「はじめの位置から終わりの位置まで」の向きつきの長さ。途中の道のりは関係ない
- +と−最初に「+の向き」を決める(この教材では東が+)。−は「小さい」ではなく「逆向き」
- x–tグラフ横が時間 t、縦が位置 x のグラフ。傾き = 速度
- m/s「1 秒あたり何 m 進むか」。メートル毎秒と読む
ステップ1
中学で習った「速さ」から
予想:8 m の道のりを 4 秒で歩いた。速さは?(中学で習った「速さ = 道のり ÷ 時間」)
東(右)を+の向きと決める。x は位置 [m]、t は時間 [s]。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
速度と変位のまとめ
| ことば | ことばで言うと | 例(東へ5 m、西へ3 m) |
|---|---|---|
| 移動距離 | 歩いた道のりの合計(向きは考えない) | 5 + 3 = 8 m |
| 変位 | はじめの位置から終わりの位置まで(向きつき) | 東へ 2 m(+2 m) |
| 符号 | 最初に+の向きを決め、逆向きは −。「−」は「逆向き」の意味 | 西へ 3 m = −3 m |
| 速度 | 変位 ÷ 時間。x–tグラフの傾き。負なら逆向き | 右下がりの直線 → 速度は負 |
| 相対速度 | 自分から見た相手の速度 = 相手の速度 − 自分の速度 | 15 − 20 = −5 m/s(西へ 5 m/s) |
この図は理解のためのモデルです。一直線上の運動だけを考え、人や電車は点として扱っています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 変位 | Δx = x2 − x1 | 終わりの位置 − はじめの位置Δ(デルタ)は「変化」の意味。単位 m。負なら逆向き(西) |
| 平均の速度 | v = Δx / Δt | 変位 ÷ かかった時間中学の「道のり ÷ 時間」に向きをつけたもの。単位 m/s。x–tグラフの傾き |
| 相対速度 | vAB = vB − vA | 相手の速度 − 自分の速度A(自分)から見た B(相手)の速度。「自分」の方を引く |
速さは「大きさ」だけ。速度は「大きさ+向き」。一直線上の運動では、向きを +・− の符号で表す。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:車の運動と記録タイマー速さを自由に変えて、テープとグラフの形を比べよう →実験のあとに読む
なぜ「向き」をつけて考えるのか
何を比べる?
中学の「速さ」と高校の「速度」で、何が増えたか(向き)を比べます。東へ5 m進んで西へ3 mもどったときの移動距離(8 m)と変位(東へ2 m)を比べます。
結果をどう考える?
位置の変化だけを問題にするなら、途中の道のりは関係ありません。「向き」を +・− の符号で表しておくと、変位・速度・加速度・力を、すべて同じ約束(最初に+の向きを決める)で扱えます。中学の「速さ」をすてるのではなく、「向き」の情報を足している、と考えると分かりやすいです。
まちがえやすい点・モデルの条件
速さが同じでも、向きがちがえば速度はちがいます。相対速度は「相手の速度 − 自分の速度」で、引く順番をまちがえると向きが逆になります。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方