物理基礎|仕事とエネルギー(1)仕事と仕事率
物理の「仕事」は、力の向きに動いた分だけ
物理の「仕事」は、力 × 力の向きに動いた距離 です。荷物を持って歩いても、物理では仕事をしていません。中学のふり返りから始めて、向き・ななめの力・仕事率・仕事の原理まで、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 仕事(物理の)力 × 力の向きに動いた距離。つかれたかどうかは関係ない
- J(ジュール)仕事とエネルギーの単位。1 J = 1 N の力で 1 m 動かす仕事
- W(ワット)仕事率の単位。1 W = 1 秒に 1 J の仕事。電球の「60 W」も同じ単位
- cosθななめの力のうち、動く向きの分を出すときに使う。cos0° = 1、cos60° = 0.50、cos90° = 0
- 仕事の原理道具を使っても仕事の量は変わらない、というきまり
- 動滑車荷物と一緒に動く滑車。引く力は半分、引く長さは 2 倍
ステップ1
仕事 = 力 × 距離
予想:箱を 10 N の力で押して、力の向きに 2.0 m 動かした。手がした仕事は?
青=加えた力、緑=動いた距離・力の動く向きの分。g = 9.8 m/s²。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
仕事と仕事率のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 仕事 W = Fs | 力 × 力の向きに動いた距離。単位 J。力と動く向きが垂直なら 0 |
| ななめの力 W = Fs cosθ | 力のうち、動く向きの分 F cosθ だけが仕事をする |
| 仕事率 P = W / t | 1 秒あたりの仕事。単位 W(ワット)= J/s |
| 仕事の原理 | 道具を使うと力は小さくできるが、距離が長くなり、仕事は変わらない |
この図は理解のためのモデルです。斜面や滑車の摩擦は考えていません。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 仕事 | W = Fs | 仕事 = 力 × 力の向きに動いた距離F:力 [N]、s:距離 [m]。単位 J = N·m |
| ななめの力の仕事 | W = Fs cosθ | 仕事 = 動く向きの分の力 × 距離θ:力と動く向きの角度。θ = 90° なら 0 |
| 仕事率 | P = W / t | 仕事率 = 仕事 ÷ かかった時間単位 W = J/s。P = Fv(力 × 速さ)とも書ける |
「仕事」はエネルギーのやりとりの量。次の単元で、仕事をするとエネルギーが変わることを学ぶ。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:仕事の原理斜面・てこ・滑車で、力と距離の関係を自由に調べよう →実験のあとに読む
なぜ「つかれる」と「仕事」はちがうのか
何を比べる?
動かす距離を変えたときの仕事、持って歩くときと持ち上げるときの仕事、力の角度を変えたときの仕事、かかる時間を変えたときの仕事率、直接・斜面・動滑車で上げたときの仕事を比べます。
結果をどう考える?
物理の「仕事」は、力がどれだけ物体を動かしたか(エネルギーをどれだけわたしたか)を表す量です。荷物を持って歩くと腕はつかれますが、荷物にはエネルギーがわたっていません(高さも速さも変わらない)。だから仕事は 0 です。仕事率は「どれだけ速く仕事をするか」で、エンジンやモーターの性能を表すのに使います。
まちがえやすい点・モデルの条件
「仕事 = 力 × 動いた距離」ではなく「力 × 力の向きに動いた距離」です。向きがずれているときは cosθ をかけ、垂直なら 0 になります。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方