物理基礎|力と運動(2)運動の法則
力は「速さ」ではなく「速さの変化」を決める
力がつりあっていないとき、物体は加速します。中学の「力を加え続けると速くなる」のふり返りから始めて、運動方程式 ma = F、質量との関係、摩擦があるときの合力、まちがえやすい「一定の速さ」の場合まで、予想してから5つのステップで確かめよう。計算は「式 → 数を入れる → 答え」の順に出ます。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 加速度1 秒あたりの速度の変化(単位 m/s²)。「速さ」とはちがう
- 運動方程式質量 × 加速度 = 力(ma = F)。「加速度 = 力 ÷ 質量」と読むと分かりやすい
- 合力物体にはたらく力を、向きを考えて合計したもの。逆向きの力は引き算
- N(ニュートン)1 N = 1 kg の物体に 1 m/s² の加速度を生む力
- 摩擦力動きをじゃまする向きにはたらく、床からの力
- 等速直線運動一定の速さでまっすぐ進む運動。加速度 0 = 合力 0
ステップ1
力を加え続けると、速さは?
予想:なめらかな床の上の台車を、同じ大きさの力で引き続けた。台車の速さは?
右(進む向き)を+の向きとする。矢印は力(青=引く・押す力、赤=摩擦力)。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
運動の法則のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 力のはたらき | 力は「速さ」ではなく「速さの変化(加速度)」を生む |
| 運動方程式 ma = F | 加速度 = 合力 ÷ 質量。力が 2 倍なら加速度 2 倍、質量が 2 倍なら加速度 半分 |
| 合力 | 進む向きの力の合計。摩擦があれば「引く力 − 摩擦力」 |
| 一定の速さ | 加速度 0 = 合力 0。押す力 = 摩擦力(動いていても力はつりあっている) |
運動方程式を立てる手順:①+の向きを決める ②はたらく力をすべて矢印で描く ③進む向きの合力を求めて ma = F に入れる。
この図は理解のためのモデルです。台車の車輪の摩擦や空気抵抗は無視しています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 運動方程式 | ma = F | 質量 × 加速度 = 合力m:質量 [kg]、a:加速度 [m/s²]、F:合力 [N] |
| 加速度 | a = F / m | 加速度 = 合力 ÷ 質量力が 2 倍なら加速度も 2 倍。質量が 2 倍なら加速度は半分 |
| 摩擦があるとき | ma = F − f | 質量 × 加速度 = 引く力 − 摩擦力合力 = 引く力 − 摩擦力(進む向きを+)。合力 0 なら加速しない |
F は「合力」。力が 1 つしかなければその力、複数あれば向きを考えて足し引きした合計。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:慣性の実験力がはたらかないときの運動を、台車で確かめよう →実験のあとに読む
なぜ「力=速さ」ではなく「力=加速度」なのか
何を比べる?
同じ質量で引く力を 1〜8 N に変えたときの加速度、同じ力で質量を 1〜4 kg に変えたときの加速度、摩擦力を 0〜10 N に変えたときの加速度、一定の速さで押す力を変えたときの摩擦力を比べます。
結果をどう考える?
力を加え続けると、速さは一定ではなく、どんどん増えていきます。つまり力は「速さ」ではなく「速さの変化(加速度)」を決めています。実験で、加速度が力に比例し、質量に反比例することがわかり、これを ma = F と書きます。
まちがえやすい点・モデルの条件
摩擦のある床で一定の速さで押しているとき、「押す力の方が摩擦力より大きい」と考えがちですが、等速なら合力は 0 なので、押す力と摩擦力は等しいです。「動いている = 力が大きい」ではありません。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方