化学基礎|酸化還元(3)金属のイオン化傾向
イオン化傾向が大きい金属ほど、電子を出して反応しやすい
金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質をイオン化傾向といいます。イオン化傾向が大きい金属ほど電子を出しやすく(還元剤として強く)、酸や水と反応しやすくなります。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- イオン化傾向金属が水溶液中で陽イオンになろうとする性質
- イオン化列金属をイオン化傾向の大きい順に並べたもの
- 水素 (H₂)イオン化列に入れて、酸と反応するかの目安にする
- 酸化力の強い酸硝酸・熱濃硫酸。H⁺ ではなく NO₃⁻・SO₄²⁻ が電子を受け取る
- 不動態表面にち密な酸化物の膜ができて、内部が反応しなくなった状態
- 王水濃硝酸と濃塩酸を 1:3 で混ぜた液。金・白金もとかす
ステップ1
亜鉛板を硫酸銅水溶液に入れると?
予想:亜鉛板を硫酸銅水溶液に入れておくと、どうなる?
金属板の表面の粒=出てきた金属。白い泡=発生した気体。上の列=イオン化列(左ほど大きい)。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
金属のイオン化傾向のまとめ
| 金属 | 水との反応 | 酸との反応 |
|---|---|---|
| K・Ca・Na | 冷水と反応 | 塩酸・希硫酸と反応して H₂ |
| Mg | 熱水と反応 | |
| Al・Zn・Fe | 高温の水蒸気と反応 | |
| Ni・Sn・Pb | 反応しない | 塩酸・希硫酸とゆっくり(Pb は表面が覆われる) |
| Cu・Hg・Ag | 反応しない | 硝酸・熱濃硫酸にとける |
| Pt・Au | 反応しない | 王水にだけとける |
この図は理解のためのモデルです。反応の速さや泡の量は目安です。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| イオン化列 | K Ca Na Mg Al Zn Fe Ni Sn Pb (H₂) Cu Hg Ag Pt Au | 「貸そうかな まあ当てにすんな ひどすぎる借金」左ほど陽イオンになりやすい |
| 金属と金属イオン | 大きい金属 + 小さい金属のイオン → 反応する | 左が右に電子をわたすFe + Cu²⁺ → Fe²⁺ + Cu |
| 金属と酸 | M + 2H⁺ → M²⁺ + H₂ | H₂ より左の金属だけZn + 2HCl → ZnCl₂ + H₂ |
イオン化傾向が大きい金属ほど、電子を出しやすい(酸化されやすい・還元剤として強い)。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:イオン化傾向いろいろな金属を水溶液に入れて、どちらが出てくるか調べよう →実験のあとに読む
なぜ銅は塩酸にとけないのに、硝酸にはとけるのか
何を比べる?
亜鉛板と硫酸銅水溶液、金属と水溶液の組み合わせ、金属と塩酸、金属と水、銅と 3 種類の酸を比べます。
結果をどう考える?
塩酸で銅をとかすには、H⁺ が銅から電子をうばう必要があります。でも銅は水素よりイオン化傾向が小さいので、H⁺ は銅から電子をうばえません。硝酸では、H⁺ ではなく NO₃⁻ がもっと強い酸化剤としてはたらき、銅から電子をうばうので銅がとけます。このとき出てくるのは水素ではなく NO です。
まちがえやすい点・モデルの条件
「イオン化傾向が H₂ より小さい金属は、どんな酸にもとけない」はまちがいです。酸化力の強い硝酸・熱濃硫酸には、銅や銀もとけます。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方