物理基礎|仕事とエネルギー(2)力学的エネルギーの保存
位置エネルギーと運動エネルギーは、足すといつも同じ
高い所の物体は位置エネルギー、動いている物体は運動エネルギーをもちます。重力だけがはたらくとき、2 つを足した「力学的エネルギー」はいつも同じです。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- エネルギー仕事をする能力。単位は仕事と同じ J(ジュール)
- 位置エネルギー高い所にある物体がもつエネルギー。U = mgh(重さ × 高さ)
- 運動エネルギー動いている物体がもつエネルギー。K = ½mv²
- 力学的エネルギー位置エネルギー + 運動エネルギー のこと
- 保存される「合計が変わらない」という意味。形が変わっても量は同じ
- √(ルート)2 乗するとその数になる数。√(2gh) は「2gh の平方根」
ステップ1
高い所の物体がもつエネルギーは?
予想:質量 1.0 kg の球を 2.0 m の高さまで持ち上げた。球がもつ位置エネルギーは?(g = 9.8 m/s²)
棒グラフ:青=位置エネルギー、赤=運動エネルギー、緑=合計、灰=熱。g = 9.8 m/s²。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
力学的エネルギーの保存のまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| 位置エネルギー U = mgh | 重さ × 高さ。持ち上げる仕事の分だけたくわえられる |
| 運動エネルギー K = ½mv² | 速さの 2 乗に比例。速さ 2 倍で 4 倍 |
| 力学的エネルギー保存 | 重力だけがはたらくとき、U + K = 一定。落下・ふりこ・なめらかな斜面 |
| 最下点の速さ | ½mv² = mgh より v = √(2gh)。質量によらない |
| 摩擦があるとき | 力学的エネルギーは減る(熱に変わる)。熱を入れた全体は保存 |
この図は理解のためのモデルです。摩擦ありの斜面で熱に変わる割合は、見やすさのための目安です。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 位置エネルギー | U = mgh | 位置エネルギー = 重さ × 高さh は基準(地面など)からの高さ。単位 J |
| 運動エネルギー | K = ½mv2 | 運動エネルギー = ½ × 質量 × 速さ²速さ 2 倍で 4 倍。単位 J |
| 力学的エネルギー保存 | mgh + ½mv2 = 一定 | 位置 + 運動 = いつも同じ重力(と弾性力)だけがはたらくとき。摩擦があると成り立たない |
| 最下点の速さ | v = √(2gh) | 速さ = √(2 × 9.8 × 高さ)mgh = ½mv² の m が消える。質量によらない |
エネルギーの問題は「はじめ」と「終わり」の 2 つの場面で、U + K を等しいとおくだけ。途中の動きを追わなくてよいのが便利。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:力学的エネルギー高さや速さを自由に変えて、エネルギーの移り変わりを調べよう →実験のあとに読む
なぜ「保存」で考えると楽なのか
何を比べる?
高さを変えたときの位置エネルギー、速さを変えたときの運動エネルギー、落下中の位置・運動エネルギーの移り変わり、ふりこを放す高さを変えたときの最下点の速さ、摩擦の有無での最下点の運動エネルギーを比べます。
結果をどう考える?
落下では、重力がした仕事の分だけ運動エネルギーが増え、同じ分だけ位置エネルギーが減ります。だから合計は変わりません。ふりこや曲がった斜面のように途中の動きが複雑でも、「はじめ」と「終わり」だけ比べれば速さが求まるのが、エネルギーで考える強みです。
まちがえやすい点・モデルの条件
「保存」は摩擦や空気抵抗がないときだけ成り立ちます。摩擦があると力学的エネルギーは減りますが、なくなったのではなく熱に変わっています。エネルギー全体(熱もふくめる)は、いつでも保存されます。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方