物理基礎|力と運動(1)力のつりあい
止まっている物体には、力が「つりあって」はたらいている
物体が止まっているとき、はたらく力の合力は 0 です。中学の「2 力のつり合い」のふり返りから始めて、質量と重さのちがい、ばねの力(フックの法則)、つるした物体のつりあい、まちがえやすい垂直抗力まで、予想してから5つのステップで確かめよう。計算は「式 → 数を入れる → 答え」の順に出ます。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- N(ニュートン)力の大きさの単位。1 kg の物体の重さが約 9.8 N
- 質量と重さ質量 [kg] は物体そのものの量。重さ [N] は地球が引く力で、質量 × 9.8
- 垂直抗力机や床が、物体を垂直に押し返す力。「抗」は「さからう」の意味
- 弾性力のびたり縮んだりしたばねが、もとにもどろうとする力
- ばね定数 kばねのかたさ。「1 m のばすのに何 N いるか」(単位 N/m)
- つりあう反対向きの力の大きさが等しく、合力が 0 のこと。止まっているときの状態
ステップ1
机の上で止まっている物体にはたらく力は?
予想:机の上に置いた物体が止まっている。この物体にはたらいている力は?
矢印は力。赤=重力、青=垂直抗力・弾性力、緑=手の力。g = 9.8 m/s²。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
力のつりあいのまとめ
| ことば・式 | ことばで言うと |
|---|---|
| つりあい | 止まっている物体では、上向きの力の和 = 下向きの力の和(合力 0) |
| 質量 m [kg] | 物体そのものの量。どこでも同じ |
| 重さ W = mg [N] | 地球が引く力の大きさ = 質量 × 9.8。月では約 1/6 |
| 弾性力 F = kx | ばねがもどろうとする力 = ばね定数 × のび。のびに比例 |
| 垂直抗力 N | 面が押し返す力。「つりあいの式」から決まる(いつも mg とは限らない) |
この図は理解のためのモデルです。ばねや糸の質量は無視し、力の矢印は大きさに比例した長さで描いています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 重力 | W = mg | 重さ = 質量 × 9.8m:質量 [kg]、g = 9.8 m/s²。単位 N。1 kg なら 9.8 N |
| フックの法則 | F = kx | ばねの力 = ばね定数 × のびk:ばね定数 [N/m]、x:自然の長さからののび(縮み)[m] |
| 力のつりあい | F上 = F下 | 上向きの力の和 = 下向きの力の和止まっている物体で成り立つ。わからない力をこの式から求める |
「止まっている」と分かれば、つりあいの式が立てられる。力をすべて矢印で描いてから、上向きと下向きを等しいとおく。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:力の合成・分解角度のついた 2 つの力の合力を、自由に動かして調べよう →実験のあとに読む
「力がはたらいていない」と「力がつりあっている」はちがう
何を比べる?
質量を 1〜5 kg に変えたときの重力と垂直抗力、地球と月での重さ、のびを変えたときの弾性力、つるす質量を変えたときののび、手で押す力を変えたときの垂直抗力を比べます。
結果をどう考える?
机の上の本には重力がはたらいていますが、落ちません。机が同じ大きさの垂直抗力で押し返しているからです。ばねにつるした物体が止まるのは、弾性力 kx が重力 mg と等しくなるのびで止まるからです。「止まっている = 力の合力が 0」から、見えない力の大きさが計算できます。
まちがえやすい点・モデルの条件
「重さ」と「質量」はちがいます。質量 m [kg] は物体そのものの量、重さ(重力)W = mg [N] は地球が引く力です。月に行けば質量は同じで、重さは約 1/6 になります。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方