物理基礎|エネルギー(2)原子力と放射線
放射線の性質を知り、正しくこわがる
不安定な原子核は放射線を出して別の原子核に変わります。その数は半減期ごとに半分になります。重い原子核が分裂すると大きなエネルギーが出ます。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 原子核原子の中心にある小さな粒。陽子と中性子でできている
- 陽子・中性子陽子は+の電気をもつ粒、中性子は電気をもたない粒
- 同位体陽子の数が同じ(同じ元素)で、中性子の数がちがう原子
- 放射性崩壊不安定な原子核が放射線を出して、別の原子核に変わること
- 半減期放射性の原子核の数が、もとの半分になるまでの時間
- Bq・Gy・SvBq(ベクレル):1 秒に崩壊する数、Gy(グレイ):受けたエネルギー、Sv(シーベルト):人体への影響
ステップ1
α線は、何で止まる?
予想:α線・β線・γ線は、物を通りぬける力(透過力)がちがう。α線を止めるには何があればよい?
赤=α線・陽子、青=β線、紫=γ線、灰=中性子。図はすべて記号のモデル。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
原子力と放射線のまとめ
| ことば | ことばで言うと |
|---|---|
| α・β・γ線 | 透過力は α < β < γ。紙・アルミ板・鉛板で止まる |
| 原子核・同位体 | 原子核 = 陽子 + 中性子。陽子が同じで中性子がちがう原子が同位体 |
| 半減期 | 放射性の原子核が半分になる時間。n 回で (1/2)ⁿ |
| 核分裂 | 重い原子核が分かれ、質量の一部がエネルギーに。連鎖反応を制御して原子力発電 |
| 単位 | Bq(1 秒に崩壊する数)・Gy(吸収したエネルギー)・Sv(人体への影響) |
| 被ばくと汚染 | 放射線を受けても、ふつう物は放射性物質にならない |
この図は記号を使った理解のためのモデルです。原子核の大きさや粒の並び、放射線の速さは実際とはちがいます。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 質量数 | A = Z + N | 質量数 = 陽子の数 + 中性子の数Z:原子番号(陽子の数) |
| 半減期 | N = N0(1/2)t/T | 残る数 = はじめの数 × (1/2)^(時間 ÷ 半減期)T:半減期。t = 2T なら 1/4 |
| 透過力 | α < β < γ | 紙 < アルミ板 < 鉛板電離作用(物質に与える影響)は α が最も強い |
半減期の問題は「何回分の半減期がたったか」を数えて、その回数だけ 1/2 をかける。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:発電のしくみ原子力・火力・水力などの発電で、エネルギーの変換を比べよう →実験のあとに読む
放射線を「正しくこわがる」には
何を比べる?
α・β・γ線の止まる板、炭素 12 と炭素 14 の中性子の数、半減期の何倍かと残る数、核分裂の 1 回と連鎖反応、線源の有無と測定器の反応を比べます。
結果をどう考える?
放射線は目に見えませんが、種類によって止め方(透過力)や体への影響のしかたがちがいます。量は Sv(シーベルト)で表し、自然界からも毎年少しずつ受けています。性質と量を知れば、医療(レントゲン・がん治療)や発電に役立てながら、遮へい・距離・時間で被ばくを減らすことができます。
まちがえやすい点・モデルの条件
「放射線を当てた物は、放射線を出すようになる」はまちがいです。α・β・γ線を当てても、ふつう物は放射性物質になりません。放射性物質が付着する「汚染」とは区別しましょう。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方