化学基礎|酸と塩基(1)酸と塩基
酸は H⁺ をわたし、塩基は H⁺ を受け取る
中学では、酸性は H⁺、アルカリ性は OH⁻ によると学びました。高校では「H⁺ をわたす物質が酸、受け取る物質が塩基」と考えを広げ、価数や強さのちがいも調べます。中学のふり返りから始めて、予想してから5つのステップで確かめよう。
ことばの準備
さきに知っておくこと
- 電離物質が水にとけて陽イオンと陰イオンに分かれること
- 酸H⁺ を出す(わたす)物質。酸性を示す
- 塩基OH⁻ を出す、または H⁺ を受け取る物質。水にとけやすい塩基をアルカリという
- オキソニウムイオンH₃O⁺。水の中の H⁺ は水分子と結びついてこの形になる
- 価数1 つの酸・塩基が出せる H⁺・OH⁻ の数
- 電離度電離した量 ÷ とけた量。0 から 1 の値
ステップ1
酸性のもとになる粒子は?
予想:塩酸が酸性を示すもとになる粒子は?
赤=H⁺・H₃O⁺、青=OH⁻、緑=Cl⁻、紫=陽イオン、黄=SO₄²⁻。丸い四角は電離していない分子。
予想を選ぶと、ここで条件を変えられるようになります。
ためしてみよう
ここが大事
ステップのまとめ
酸と塩基のまとめ
| ことば | ことばで言うと |
|---|---|
| アレニウスの定義 | 水にとけて H⁺ を出すのが酸、OH⁻ を出すのが塩基 |
| ブレンステッドの定義 | H⁺ をわたすのが酸、受け取るのが塩基(水がなくても使える) |
| 価数 | 1 つの酸が出せる H⁺ の数、1 つの塩基が出せる OH⁻ の数 |
| 電離度 | とけた酸・塩基のうち、電離したものの割合 |
| 強酸・強塩基 | HCl・H₂SO₄・HNO₃/NaOH・KOH・Ca(OH)₂(電離度ほぼ 1) |
| 弱酸・弱塩基 | CH₃COOH・H₂CO₃/NH₃(電離度が小さい) |
この図は理解のためのモデルです。粒子の数や電離する割合は分かりやすく変えています。
公式
この単元の式
| 名前 | 式 | ことばで言うと・単位 |
|---|---|---|
| 酸の電離 | HCl → H⁺ + Cl⁻ | H⁺ を出すH₂SO₄ → 2H⁺ + SO₄²⁻(2 価) |
| 塩基の電離 | NaOH → Na⁺ + OH⁻ | OH⁻ を出すNH₃ + H₂O ⇄ NH₄⁺ + OH⁻ |
| 電離度 | 電離度 = 電離した物質量 ÷ とかした物質量 | どれだけ電離したかの割合強酸はほぼ 1、0.1 mol/L 酢酸は約 0.016 |
酸・塩基の強さは価数ではなく電離度で決まる。H₂SO₄ は 2 価の強酸、CH₃COOH は 1 価の弱酸。
重要語句
この単元でおさえること
確認問題へ問題ページへ →実験道具:電離のようす酸・塩基が水の中でイオンに分かれるようすを調べよう →実験のあとに読む
なぜ「H⁺ のやりとり」で考えるのか
何を比べる?
塩酸の中のイオン、酸と塩基の電離、NH₃ と H₂O・HCl と H₂O の H⁺ のやりとり、酸・塩基の価数、強酸と弱酸の電離のようすを比べます。
結果をどう考える?
アレニウスの定義では「OH⁻ を出す物質」が塩基ですが、アンモニアは OH をもっていません。H⁺ のやりとりで考えると、NH₃ は水から H⁺ を受け取る塩基で、そのとき水が OH⁻ になると説明できます。同じ水が、HCl に対しては H⁺ を受け取る塩基、NH₃ に対しては H⁺ をわたす酸としてはたらきます。
まちがえやすい点・モデルの条件
「価数が大きい酸ほど強い」はまちがいです。酢酸(1 価)は弱酸ですが、塩酸(1 価)は強酸です。強さは電離度で決まります。
制作:現役の理科教員 / 制作の考え方